V9の前の年あたりのシーズンオフ。百貨店のサイン会場は、超満員で、先着順の専用色紙は売り切れで、仕切られたロープ越しに、眼の前でずっと眺めていた。
しばらくすると、突然、幼児が飛び出して、関係ない既製の色紙を掲げて、「サインして~!」
あっけにとられるお客と、「困りますっ!!」と駆け寄る二人の係員を、「してやる、してやる。」と頷きながら制止。
いつまにか現れた、まるでホームスチールでも弄したかのような、その母親に抱きかかえられて、握手まで。
微妙な会場の雰囲気を、明るく一瞬で吹き飛ばしてしまって、それが強烈な印象を。
あとにもさきにも、目の前で長島さんをみたのは、この時だけ。